コラム
2021年08月26日

バリアフリー住宅のポイントを解説してみます

バリアフリー住宅とは

 

 バリアフリー住宅とは、ときかれて、一番に何を想像されるでしょうか?

 段差のないお部屋。

 広いトイレ。

 スロープの付いた玄関。  などなど・・・

 皆さんの印象は大体似ているのではないでしょうか。

 老後はまだまだ先。介護なんて関係ないとお考えの方もきっと多いかとは思います。 

 今は関係なくても、何十年も住み続ける家だからこそ、

 将来的にも生活しやすい家を意識しておくのもいいかもしれませんね。

 また、バリアフリー住宅と聞くと、お年寄りの方の為、という印象を持たれる方が多いかと思いますが、

 実際は小さな子供から高齢者まで、幅広い世代の方が、安心、安全で、快適に生活できることを

 前提とした住まいのことですので、

 子育て世代の方々の家づくりにも、当てはまるのではないでしょうか。

 さらに、妊婦の方がつまずかずにすんだり、

 若い方でも、けがや病気で車いすを使わざるを得ない状況になった際にも、 

 対応でき、その利用価値は幅広く、普通に生活ができる方でも、

 使いやすいと感じるメリットがたくさんあります。

 

次に各部屋ごとにバリアフリーの注意点を上げていきますね。

 

<玄関>

 玄関ドアは、車いすで出入りできるように幅は90センチ以上は確保しておきましょう。

 できれば、扉タイプではなく、引き戸タイプがおすすめです。

 さらに欲を言えば、ドアに物や人が挟まれないように、ドアクローザーを調整してドアの閉まるスピードが

 ゆっくりにするなど工夫されるのもいいかと思います。

 玄関に入ると、上がり框(あがりかまち)がありますが、

 この段差は通常20~25センチくらいが多いのですが、

 バリアフリーの場合は11センチ以下の低い段差が望ましいです。

 靴を履いたり、脱いだりする際に、手すりがあると楽に脱ぎ履きができるため、

 介護者がいる場合は、その介護者の身長や利き腕によって、手すりの設置を考えるのもいいかと思います。

 思いのほか、玄関において、使い勝手がいいのは、補助ベンチです。

 高齢者や介護者が、自分で靴を脱ぎ履きしやすくなります。

 

 玄関アプローチの段差問題はスロープの設置が必要となります。

 なるべく緩やかな傾斜が理想的です。

 スロープは玄関アプローチだけでなく、玄関内に設置することも可能で

 車いすの利用がある場合は必然となってきます。

 

<廊下や階段>

 廊下の幅は、標準仕様であれば、78センチが一般的ですが、

 この幅では、車いすが通るだけでいっぱい。

 手すりの設置や車いすでのUターンを考えた場合は、

 より広めの廊下幅を確保することが必要です。

 最低でも90センチは確保する必要があります。 

 150センチまでとれればベストですね。

 ここで、手すりの件ですが、手すりにも幅があります。

 女性は男性に比べ手が小さく握力も弱いため、なるべく握り幅が

 小さめの手すりを設置するなどの配慮が必要かもしれません。

 

 廊下は車いすでも傷がつきにくい硬めの素材を使い、

 また巾木も同様に幅のあるものを使うなど、考えてもいいのではないでしょうか。

 階段は滑りにくい素材を採用したほうがいいでしょう。

 小さなお子様にもその方が安心ですよね。

 

<浴室>

 浴室は転倒しやすいところですので、床の素材は滑りにくいものを

 選んでください。

 また、出入り口では二人が通れるように開口を大きくとることが

 基本となります。

 そのためにも、ドアは折れ戸ではなくスライド式にすることをお勧めします。

 脱衣所と浴室の段差もなくすようにしましょう。

 

 浴槽選びは、一番悩むところだと思います。

 以前からある、浴槽の深いタイプ(和式)

 最近多い、浴槽の浅いタイプ(洋式)とありますが

 できれば、その中間の和洋折衷の長さ110~160センチ、深さ45センチの浴槽だと

 肩までつかることができ、適当に体を伸ばすことが可能なため、身体に無理な圧迫をかけません。

 

 最後に、お風呂場は特に冬場は室内と浴室

 浴室内の洗い場と浴槽などの温度差によりヒートショックを起こす可能性もあります。

 浴室暖房を利用すれば、ヒートショックの予防にも効果的です。

 このように家の中の温度差をなくすこともまた、バリアフリーの一環とされ、

 ‘‘温度のバリアフリー‘‘とも呼ばれています。

 

<トイレ

 トイレは一日に何度も利用し、介護者も介助する側も気を使う場所です。

 まず、大切なのはトイレの位置です。

 トイレの使用頻度も高く、夜間に転倒のリスクも高いため、

 居室、寝室から近い場所にトイレを設置することが重要です。

 スペースも二人同時に入る場合もあるので、余裕のある広さを持たせた方がいいでしょう。

 もし可能であれば、他の面の壁にもドアを設けて、洗面所や脱衣所からも入れるように

 ドアを作ると、水まわりの移動が容易になります。

 

 

<洗面所>

 座った状態で使いやすい洗面所が理想的です。

 普通よりは少し低めですが、子供さんやお年寄りには使いやすいでしょう。

 また、車イスも使えるように下のスペースを取り払うと、

 座ったままで洗面台に近づけるようになります。

 その分だけ収納スペースを別にとる必要がありますので、

 できれば広めに設計されるといいかと思います。

 

<リビング、ダイニング> 

 リビングやダイニングは家族が顔を合わせる場所です。

 みんなが自由にくつろげる場にするためには、

 まず、段差をなくすことを徹底しましょう。

 床ですべったり、段差やでっぱりにつまずくこともありますので、

 フラットな床にすることが大事です。

 もし、難しければ、段差のある箇所の色を変えて、わかりやすくしたり、

 足元を照らす、フットランプも効果的です。

 次にテーブルの高さです。

 テーブルの高さは一般的には70センチです。

 これだと車いすのまま入れることはできるのですが、

 できれば高さを調整できるものにしておくと、より便利です。

 さらに、可能であれば、リビングダイニングの一部に畳敷きの小上がりを

 作っておくと非常に便利です。

 ちょっと横になったり、子供さんの遊び場や、お昼寝の場所にもなって

 使い勝手がいいようです。

 

バリアフリー住宅についてお話ししましたが、最後に

一番なのは、実際に使われる方の目線から、必要不必要を選択することだと思います。

何もかも取り入れれば最高ですが、いろいろな制約もありますので、

無理のない範囲でポイントを絞って、計画を立てられることを

おすすめします。

 

一言アドバイスですが、

簡単にできることなのですが、電気のスイッチの位置は低めに設置し、

照明の点灯、消灯のしやすいワイドスイッチを採用すると

先々便利かと思います。

 

ご家族みんなで、どんな住まいなら安心して暮らせるかを

考えながら検討してみてくださいね。